電話と対話
「義弟さんはいますか?NISAの件なんですが....」
証券会社の若い女性からの電話だった。
「引っ越していませんよ」
そういえば義母が株についてしつこく言っていたので、
「義母の営業担当はあなたですか?」
「私ではありません、調べて担当と変わります」
30代後半と思しき男性と変わった。
「義母の資産状況について知りたいんですが」
認知症の義母から株のことをしつこく聞かれて弱っていること、資産の一覧を登録住所に送って欲しいことを伝え、義母に電話を代わり本人確認をし一覧を送ってもらうことにした。
「実は11/15日にお二人で来店されまして....」
え?
「義母さん!証券会社行ったの!?」
「あ、義弟と行った、N証券行った。なんか書類にハンコ押した...」
電話の相手はM証券なのだが、ずっとN証券に株を預けてると言っている。
「詳しくは書類をごらんください」
二日後、証券会社からの書類が届いた。証券会社にてっきり株は勝手に処分したと思ったが動かした形跡がない。家を出るとこちらに連絡した直後、二人で証券会社に行って何したんだ??
その後わかったことだが、証券会社で義母の口座から自分の口座に株を移そうとしたらしい。書類まで作って、贈与税がかかることを言われ、すごすご戻ってきたようだ。
義弟だがこういったことが抜けている。でも大学院まで行って有名な素材メーカーのエンジニアなのだ。家の鍵を変えたことに驚いて交番に飛び込み警察官に窮状を訴えた。でも警察官に「それ事件じゃないから」と言われたらしい。常識が欠落している上に、嫁が右といったら右、白といったら白と誠に情けない...
そんな義弟が叔父に泣きついて話し合いがしたいと言ってきた。叔父も引っ越しするのに荷物を置いていくのは??だったらしいが叔父の顔を立てて話し合いをすることになった。
話し合いの結果、二階の荷物を片付け使用してもよいということになった。家賃を払えと言ってきたので突っぱねた。叔父も株をやるので義弟のやろうとしていたことに気付き呆れていた。叔父は帰りに義母に会い、元気な様子を見てこの状態で施設に入れるの?話もできないのかと思っていたらしい。
これでようやく落ち着いて寝られるようになった。襖の向こうの義母の独り言を聞くのも限界だった。ここまで3週間、ヘトヘトだがまだまだ続くのだ。特にデイサービスが休みの正月をどう過ごすかである。